摂南大学 「企業経営」の講義に、投資育成の投資先である日本カノマックス株式会社 代表取締役社長の加野稔様にご登壇いただきました。
今回、加野社長には、「中小企業におけるイノベーション経営 ~基礎理論とカノマックスグループでの実践を交えての私論~ 」についてご講演いただきました。
その一部をレポートいたします。
日本カノマックスについて
大阪府吹田市に本社を構える日本カノマックス株式会社は、“見えないものを測る” というテーマに挑み続けてきた精密計測機器のパイオニアです。1934年の創業以来、空気や流体、粒子といった、人の目では捉えられない現象を正確に可視化する技術を磨き上げてきました。その取り組みは、単なるメーカーの枠を超え、研究者や技術者から厚い信頼を寄せられる“計測の専門家集団”としての地位を確立しています。
同社が手がける製品は、風速計、粉じん計、パーティクルカウンター、ガスモニター、騒音計など多岐にわたり、環境計測や製造現場の品質管理、医療・衛生分野、さらには最先端の流体研究まで、幅広い領域で活用されています。いずれも高い精度と信頼性が求められる現場で選ばれ続けていることが、日本カノマックスの技術力を物語っています。
また、同社は早くからグローバル展開を進め、アメリカや中国にグループ企業を設立。世界中の研究者や技術者と協力しながら課題解決に取り組む姿勢は、国境を越えて築かれた確かな信頼の証です。
国内外の拠点と連携しつつ、これからも高度なセンシング技術を通じて、社会の安全・安心・快適な環境づくりに貢献し続ける企業として成長を続けています。
イノベーションとは何か?
イノベーションとは、新しい価値を生み出し社会を変えることであり、シュンペーターはこれを「新機軸」「新結合」などと定義した。イノベーションはゼロから生まれるのではなく、既存の知識や経験の組み合わせによって創出される。彼はイノベーションを、新商品や新市場を生むプロダクション、業務効率を高めるプロセス、マーケティング手法を革新するマーケット、供給連鎖を最適化するサプライチェーン、そしてそれらを支える組織改革の五つに分類した。
クリステンセンは、大企業が破壊的イノベーションに対応できず新興企業に敗れる「イノベーションのジレンマ」を指摘した。既存企業は既存顧客のニーズに縛られ、新市場を軽視し、組織の優秀さが変革の妨げになるためである。これを克服するには、小規模組織に新技術を任せ、失敗を許容しながら新市場を開拓する姿勢が必要となる。
企業が生き残るにはイノベーションが不可欠であり、商品やビジネスモデルは必ず陳腐化する。日本企業は改良型イノベーションに偏り、過剰な機能追加による“ガラパゴス化”が競争力低下を招いたとされる。
その中で期待されているのが中小企業である。小規模ゆえの機動力やトップダウンの意思決定により、大企業では生まれにくい独創的な製品を生み出す可能性が高い。ただし資金面の制約が大きいため、大学や公的機関との共同研究、産学官連携など外部資源の活用が重要となる。
近年注目されるオープンイノベーションも、中小企業にとって有効な手段である。カノマックスでは大学・研究機関との共同研究、グローバルアライアンス、外部機関を活用したグローバルサービスネットワーク(GSN)構築などを進めている。
中小企業がイノベーションに挑む際のポイントとして、得意分野の磨き込み、限られた資源のレバレッジ、エコシステムへの戦略的参画、小規模M&A、外部知見の積極活用、グローバル人材交流、少数意見の尊重、リスクの見極め、テクノロジーの徹底活用などが挙げられる。
最後に、イノベーション成功の鍵は「人」にある。トップの覚悟と胆力、現場との情熱のシナジー、失敗を許容する文化、志を共有するチーム、そして知的好奇心に基づく学びが、イノベーションを生み出す土壌となる。
加野社長による講演は、就職活動を控えた学生にとって非常に有意義で、学びの多い内容でした。
加野社長、貴重なお話をありがとうございました。
【日本カノマックス株式会社 会社概要】
風速計、粉じん計、ガスモニターなどを手掛ける精密計測機器の専門メーカー。気流及び粒子測定研究に関するわが国随一の特殊技術会社として認められ,製品は各大学,メーカーの研究・管理等の面で使用されている。
【本社所在地】大阪府吹田市清水2 の1
【拠点】東京支社、名古屋営業所、株式会社カノマックスコーポレーション(大阪府吹田市)、KANOMAX HOLDINGS, INC.、KANOMAX USA, INC.、加野儀器(上海)有限公司、加野麦克斯儀器(沈陽)有限公司、カノマックスアナリティカル株式会社、Kanomax FMT, INC.
【従業員数】137人
【会社HP】https://www.kanomax.co.jp/